今、推しがいない

今、推しがいない。

アイドルや漫画家、小説家、声優、あるいは現実の好きな人。誰かを推して愛を注ぐことが当たり前だと信じて疑わなかったし、推しという言葉を知る由もなかった幼少期からずっと、そういう「誰か」に没頭している人生だった。

推しは男性でも女性でも誰でもよくて、恋に近いような感覚に陥る。でもけして恋愛的に結ばれたいとは思わない。
彼らや彼女らに、時間もお金も、すべてを捧げていた。そのことが当たり前だと思っていたし、そうすることで彼ら彼女らがより一層輝けば幸せだと思っていた。


近頃はずっとうちわを振っていた。左手に深夜に作ったうちわを、右手に安い双眼鏡を持って、彼の背中を追うのが楽しくて仕方がなかった。ファンサービスがもらえないとか、そんなことは関係がなかった。
熱を帯びた思いという意味においては、恋だったけど、恋愛の意味ではなかったし、見返りは欲しくなかった。心から。
ただ「あなたを応援している人間がここにいるよ」というメッセージを込めて、ずっと彼を見ていた。

うちわを下ろして、双眼鏡を持つのをやめたのは、別に嫌いになったからじゃない。嫌になってもいない。
彼が新しいステージに行ったな、と思ったからだ。
胸を張って、人生で一番、世界で一番、彼が好きだったと言える。どんな場所にいてもきらめいていたし、どんな瞬間も愛しかった。
そんな彼が、わたしの想像を遥かに超えた大きな一歩を踏み出そうとした時に、わたしは期待や高揚感ではなく、不思議な安堵に包まれていた。
そうすると思ってたよ、と言いたかった。それくらい目で追って、それくらい愛を捧げてきたつもりだ。

たぶんわたしは、自分が心から満足できるくらい、彼を読んだのだと思う。
わたしは他人を一冊の本のように捉えていて、人を好きになるということは、お気に入りの本ができることに近い。
どんなふうに生きていくのか、ということは、そのまま、その本のその後の展開に関わってくる。
わたしはあの時、次のページをめくらずに読めてしまった。それは喜びと同時に、もういいかな、という気持ちを誘うものでもあった。
これから、この本がどんな物語を辿るのかを知りたいという欲求よりも強く、今は、一番素敵な物語のままで本を閉じておきたいと思った。


推しがいない生活というのは、存外寂しいものだ。
元からお金の管理が得意な方ではないので、別に貯金が著しく増えたりするわけでもない。ちょっといいコスメや洋服を買ってみても、それをおろすのを楽しみにする日が今はなくて、むなしくなったりする。

最初は「推しはわたしです」って言えるくらい自分に時間もお金も手間もかけよう、と思っていたけれど、向いていなかったというか、単に楽しくなかった。
じゃあ恋愛の方に、と思ったけれどそれもあまりはまりきれない。というか、はまろうとすると絶対にろくなことにはならないな、という予感がしている。一応彼氏を作ろうという意思を見せようとして(誰に?)アプリを入れたりもしたのだけれど、すぐにアンインストールの刑に処された(わたしの手によって)。
じゃあ別の「誰か」はどうだろう? と考えていろんな人を見ていろんな人を読んだけれど、彼を見つけたときほどピンとくる人はいなくて、ただただ困った。
読書はどうだろう? 知識も増えるし、趣味の合う人も増えそうだからいい、と思ったのだけれど、やっぱりはまらなかった。大好きだけど、行為は「推し」にならなかった。


無理に特定の誰かを推したりしなくてもいいということはわかっているのだけれど、推していないと、不安になる。
誰かを推していない自分の人生に、価値があるのか? と真剣に考え込んでしまう。
わたしは、自分の人生が無価値なんじゃないか、という不安を拭うために、他人の人生に没頭していたのかもしれない。

トリップ感を、味わいたいのだ。そして現実のわたしを忘れたい。
一冊の本を一気に読みきる時に、周りの音も何もかも聞こえなくなるように、「誰か」に溺れて熱を上げたいのだ。恋は盲目の法則で、何も見えなくなりたい。
それは一種の中毒のようなものだから、推しがいないと不安になる。

でも、これがひとりで立つということか、とも、思ったりする。
強烈に寂しくて唐突にむなしいけれど、風の冷たい日に思い出す顔や名前がひとつもないけれど、「誰か」の、「他人」の人生に乗らずに、なんとかぐらぐら立っている。

時間もお金も手間も、すベての行く先の選択権がわたしの手の中にある感じがする。本当はずっとそこにあったのだけれど、わたしは考えることを放棄していた。


今は、推しがいない。

「あの子には勝ってる」とか「あの美人な女の子には負けた」とか、やめませんか?

大切な友人に宛てて

「人を見た目で判断しないでほしい」「容姿で差別しないでほしい」「ルッキズムに囚われないでほしい」と思う。‬

ルッキズムを内在化するのは、あなた自身も、周囲の人も、もちろんわたしも、とても苦しい。

容姿だけで人は判断できないし、判断しないでほしい。そして、容姿のみによってあなたが判断されていると思わないでほしい。

わたしはあなたの容姿によって友人になったわけではない。きっとあなたの周囲の人たちもわたしと同じ考えだろうと思う。

わたしはきっと、あなたが美しくとも美しくなくとも仲良くなりたいと思ったし、言葉を交わした。言葉を交わしたからこそ、仲良くなれた。

あなたが自分のことをブスだと思い込んで、「どうせブスだから……」と自分を責め続けるのはつらい。どれだけあなたの良いところを褒めても「どうせブス」という殻のせいで届かないのは、とても悲しい。

誰かがあなたに植え付けた呪いのような「ブス」という言葉のせいで、わたしがあなたを尊敬している気持ち、好きだという気持ちが届かないのは、むなしくなる時もある。

わたしも、そうやって閉じこもって動かずに、ブスだから、ブスだから、と心の中で繰り返していた時期があった。

どれだけ褒めてもらっても「でもかわいいあの子にはかなわない」と思っていた。

どれだけテストの点がよくても、部活で賞をとっても、隣にいる人が美しかったら意味がないのだと、本気で思っていた。

あなたにも今、かつてのわたしと同じものを感じている。どれだけ他のジャンルで頑張って結果を出しても、「美しい人にはかなわない」と思っていそうで、心配している。

そんなことないんだよ、と言いたい。だって、そんなことはないから。

生まれた瞬間にはそんな風に思わないのに、育てられるうち、人と接するうちにいつの間にか「こういう容姿が優れている」「容姿が優れている人こそが素晴らしい」と思い込むようになる。

人々の望む「美しさ」に該当しなければ冷たくあたられ、「美しい」から優遇された誰かの話を耳にする。

その裏には、トイレの個室の奥で、廊下ですれ違いざまに、街で知らない男の人に、投げかけられる「ブス」もあった。

「美しい」人はこっちのグループ、「そうじゃない」人は別のグループ、そういう流れになることもある。

もしかしたらあなたにもそういう経験があって、「美しくなければならない」と思っているのかもしれない。

あなたは武装するようにメイクをするし、努力して容姿を磨いていく。実際に、あなたはとても美しい女性になった。

だからこそ、そうやって美しくなったあなたを認める方法は、他人との相対評価ではなく、あなただけの絶対評価であってほしい、とわたしは思う。

 

「あの子には勝ってる」とか「あの美人な女の子には負けた」とか、やめませんか?

 

何も知らない無関係な他人を勝手に土俵に上げて勝負するのは、相手に失礼で、あなたもつらいだけだと思う。

あなたが「勝った」というあの子は容姿で判断されることなんて望んでいないかもしれないし、あなたが「負けた」というあの子は足の速さで勝負したいと思っているかもしれない。

その子たちはあなたの手で知らないうちに土俵に上げられて勝手に容姿をジャッジされて、「ブス」とか「まあいける」とか身勝手な言葉を浴びせられる。

それはかつてわたしたちがされてきたことではないだろうか?

 

そもそも、あなた自身が、そのルッキズムの土俵に、望んで立っているのだろうか。

わたしはそれが、一番の疑問です。

こんな社会の中で、あなた自身も勝手に土俵に上がらされて、勝たなければいけない、勝たなければいけない、と思っているんじゃないだろうか。

わたしは、容姿がすべてじゃないと思うし、そう思っていたいから、できることなら、あなたと一緒に、ルッキズムの土俵から降りたい。

降り立った場所で、一緒に、容姿以外のあなたの魅力を数えて、あなたという人間の素晴らしさを認め合いたい。

わたしたちがルッキズムの土俵から降りなければ、ルッキズムの土俵から降りて「わたしの魅力は容姿だけではありません」と表明しなければ、わたしたちは一生そこに囚われてしまう。

そうして、わたしたちはいつか、わたしたちが無意識にそうされたように、幼い誰かにルッキズムを植えつけてしまうんじゃないか。

わたしはそれが、とても恐ろしいです。

 

akoumi

2019年を振り返る

題の通りです。

1月

ほとんど記憶がない
近年まれに見るデカイ鬱に入ったタイミングが2018年12月から2019年1月で、既に結構落ちていた。
あちこちでやらかしまくっていて、どこに頭を下げればいいの……と思いつつ怖くて見ていない。
大学にもほとんど行かずに(何をしていたんだろう)(多分体が動かなくて寝ていた)、友人に出席カードを出してもらって単位を取得したのを覚えている。

2月

まったく記憶がない
何度振り返ってみても記憶がないので、生きていたのかどうかがあやしいなあと思った。
所属していたサークルを辞めた。最後は本当に挨拶も引き継ぎもせずに出て行くことになり、我ながら最悪すぎて言葉が出ません。
わたし個人としても、サークルとしても多分あのタイミングで辞めるのが一番よかったんだろうなあと勝手に思っている。
自分の変なこだわりとプライドがよくない方向に向かっているのは気付きつつ、何をしたらいいかわからない時期だった。

3月

眠っていた
とにかく惰眠を貪っていたことだけは覚えている。
3年次の必修の担当教授から「途中で倒れそうやと思ったら休学させる」と以前から言われていて、結局休学を決意したのが3月の頭だった。
半年分の学費が無駄になることは避けられたし、休学してゆっくり休んだおかげでとてつもなく楽になったので、本当にいい決断をしたと思う。

4月

またも記憶がない
そろそろ何のための振り返りかわからなくなってきたけれど、記憶がない。おそらく休学期間に入って眠り続けていたのだと思う。
休学期間中は本当に眠っていることが多かったのだけれど、眠りたくて眠っているというよりは、記憶もないままどっぷりと沼に浸かっている感じがした。

5月

日記にハマる
友人から「考えていることがわからない」と言われて、それを伝えたいと思い日記を書き始めた。
書き始めた5月はとにかくそれにハマってしまって、ずっと日記のネタを探しているような状態になった。今は、考えていることや日常生活であったことをたまにぽつぽつと書いている。
眠れるだけ眠って少し元気になったから、休学中に読みたい本のリストを作ったのだけれど、まともに読めていない。何してたんや。

6月

躁のビッグウェーブ
6月〜8月にかけての躁の始まり。月初めにまず2件ほどやらかして、そのあともやらかし続けた。すごい勢いがあった。
今までのように「何かに取り組みたい」というような意識ではなくて、とにかく「人に会いたい」と連絡を取りまくったりしていた。多分、休学をしてから人に会う機会が減って寂しかったんだと思われる。

7月

続・躁のビッグウェーブ
鬱の最底辺にいる時も記憶がないけれど、躁の最高潮にいる時も記憶がないもので、7月は記憶がない。
とにかく人としゃべりまくり、倒れるように眠る、みたいな生活をしていた。そのせいで本来やるべきことをやっていなかった。
この辺りから前までかかっていた病院の診断や、処方されている薬は自分に合っているのか? と思い始める。

8月

断捨離
当時よく会っていた男性と縁を切った。ら、めちゃくちゃスッキリして健康的な気持ちになった。これとともに躁が終わる。サイコ〜。
病院も変えて、晴れて「双極性障害」の診断をもらう。やったね。
前まで興味のあったもの(服とかメイクとか)にも興味がなくなってしまった状態になっていた時期があって、それはつらかった。

9月

文字が読めるぞ!
すごい当たり前のこと書いてるように見えるけどそうじゃなくて、薬の関係なのか双極性障害の影響なのかはわからないけど、1月から8月はずっと文字が読めなかった。
何を読んでも意味が理解できないことが多く、Twitterをやっていて泣けてくる、みたいなレベルだった。
小説もちょこちょこではあるけれど書けるようになってきて、やっぱり文字で何かを表現することは好きだなあと思えた。
日記がなぜ大丈夫だったのかわからないけれど、あの時期の思考回路を残している貴重なものなのでやっていてとてもよかったと思う。
22歳の誕生日を迎えて、成人の自覚がやっと芽生えてきた。

10月

しょうせつをかくぞ!
小説を書いて読み合う相手がほしくて、文学学校に入学した。
正直、8月に終わった躁が本当に終わったのかとか、今度は鬱がくるんじゃないかとかを考えて入学をためらったのだけれど、結果としてはいい決断だった。
「小説を書いている」という前提でしゃべることができるのがとても楽しい。

11月

合評
文学学校の合評で自分の作品が評される番になって、とても緊張していたのを覚えている。意見をたくさんもらったので、今も書き直している最中。
アルバイト先で友人ができたおかげか、前まで以上に楽しく働くことができたと思う。
なんとなく、躁と鬱、どちらも来ないのではないか? と思い始める。
この月から毎朝7時半までには起きて朝食を作って食べる、というルーティン(流行りのモーニングルーティンですね、素敵)ができて、それがかなり健康状態にいい影響を与えたと思っている。

12月

1年振りの元気
やっっっっっと元気と呼べる状態になった。
ここまで本当に長かった、と思う反面、これで油断してはいけないなと思っている。年明けからは薬を減らそうという話が出ていて、喜ばしい。
元気になるために15kg太りましたが(躁の時に飲まず食わずで活動しすぎて痩せていたとはいえひどい話)。
生き急ぐのではなく、ちょっと落ち着いて先を見る、という意識を持てた気がする。とりあえず猪突猛進! という感じはなくなった(当社比)。



通しで見てみる

とにかくアップダウンの激しい1年だった。
今までは上って言ったら上! 下って言ったら下! みたいな感じで、中間がなかったところを、やっとゆとりというものがわかって調整できるんじゃないかと思えるようになった。まだできるかはわからない。
ちなみに文字はまだ自分の読みたいように読めるようにはなっていなくて、それが少しつらいところではある(一番読めていた時期が躁だったのではないかという説もある)。
休んだことと、それを許してくれる環境にいられたことが幸運だったと思う。たっぷりと休養をとったことで、生きるか死ぬか、みたいなところから逃げられてよかった。

本の話

大好きな島本理生さんの『夜 は お し ま い』をkindleで購入した。島本理生さんの本をkindleで買うのは始めてだったけれど、アルバイト先の友人が「電子書籍だと読みやすい」というようなことを言っていたので挑戦した。携帯からいつでも読むことができるのは楽でいいな、と思う。
紙の本には独特の存在感というか、重さというか、そういうものがあって、調子の悪い日はそういう重さに引きずられてしまうのであまり手に取ることができない。
電子書籍にすれば調子の悪い日でもより多くの本を読めるのではないかと考えたのだけれど、残念ながら今度は軽すぎて内容を忘れてしまうことが多かった。
本の重さに引きずられないくらの速さで、内容を頭に焼き付けられるくらいのちょうどいい重さで、となったらやっぱり「紙の本で一気に読む」というのがトリップ感もあっていいような気がする。

一方でもともと単行本1冊あたり15分くらいで読んでしまっていた漫画はほとんどを電子書籍で買うようにしている。一部紙の本で買っているのは、1巻から紙で買っていたシリーズくらい。
いつでもどこでも漫画が読めるのはとても幸せだけれど、いつでもどこでも読めると思うからこそ読まない、ということもあるのだと知った。買った新刊にまだ手をつけていない。
夜中に布団の中でもう読んだことのある漫画をすり減らすように読んでいる。『はちみつとクローバー』とかを読んでいることが多い。

電子書籍セールにまんまと引っかかって、『夏雪ランデブー』を全巻そろえた。多分一度だけ読んだことがある気がするのだけど、2巻以降から内容は覚えていなかった。

「負けず嫌いほど平気なフリをするのよね でも彼のそういうところが好きだった」

切ないのに湿っぽくなくて、不思議な感覚だなあと思う。お互いに置いて行った側と置いて行かれた側である島尾と六花があまりにも閉じてるからそう見えているのかもしれない。

かつてアルバイトしていた書店が潰れたこともあるので、書店で本を買うということはとても大事だと思いつつも、利便性を取って(ある場合は)電子書籍にすることが多くなってきている。最近は友人と読書会をする機会があるので、人に勧めやすいように紙媒体で買うこともある。
それでも書店の中を端から端まで巡って今まで知らなかった本、ずっと探していた本、自分好みの本に出会えた瞬間は本を手に取る度に思い起こすことができる。

2019年読んだ漫画まとめ

2019年に読んだ漫画をまとめます。

貼ってるリンクが新刊だったり1巻だったりするのは適当に好きな表紙を貼っているからです。

 

 

違国日記 5 (フィールコミックス FCswing)

違国日記 5 (フィールコミックス FCswing)

 

やっぱり今年も一番はこれだな〜、5巻を読んで改めて。(前述とは別の)友人と話していたのだけれど、両親を亡くして孤独になった朝に対して、槙生は安易な慰めをしたりしない。そういうところがとても正しい優しさを持っているなあと思う。

 

 

青野くんに触りたいから死にたい(5) (アフタヌーンコミックス)
 

最初はちょっとニッチなラブコメだったのが、どんどんホラーとしての要素が出てきていてめちゃくちゃ好き。四ツ首様編も読んでいてとても面白い。個人的には青野くんの幼少期がとても気になるので、この先の展開が楽しみです。

 

 

ブルーピリオド(6) (アフタヌーンKC)

ブルーピリオド(6) (アフタヌーンKC)

 

今わたしの中で一番アツイのが藝大受験漫画・ブルーピリオド。お話がめちゃくちゃ面白いし、主人公の八虎が共感しやすい人物なので(八虎の感じている孤独は、みんなどこかに持っていると思う)新刊が出るたびにサーッと読めてしまう。しかし読み返すとそれぞれが描いた絵(実際の作品を使っている)に感じるところがある……。

 

 

ワールドトリガー 21 (ジャンプコミックス)

ワールドトリガー 21 (ジャンプコミックス)

 

ワールドトリガーは人生の教科書なので読んでください。集団戦×戦略モノ、というところがめちゃくちゃいいなあと思う。キャラクターが多いはずなのにみんな割と名前を覚えてる(それくらい特徴がある)からすごいなー。これからの展開がめちゃくちゃ楽しみ。

 

 

アクタージュ act-age 7 (ジャンプコミックスDIGITAL)

アクタージュ act-age 7 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

演劇漫画、と聞いた時にどんな風に話が進んでいくんだろう? ととても楽しみにしていたんですが、とにかくおもしろい。それぞれに役者としての意地やプライドがあって、学び合ったりぶつかり合ったりする姿がかっこいい。

 

 

あせとせっけん(1) (モーニングコミックス)

あせとせっけん(1) (モーニングコミックス)

 

汗っかきの麻子さんと、匂いフェチの名取さんのお話。麻子さん〜〜〜〜かわいいよ〜〜〜〜!!!!とにかく麻子さんがかわいくてえっちでかわいい漫画。尊いってこういうことか〜と思った。

 

 

金剛寺さんは面倒臭い (5) (ゲッサン少年サンデーコミックス)

金剛寺さんは面倒臭い (5) (ゲッサン少年サンデーコミックス)

 

同じくこちらも尊い金剛寺さんがこんなにかわいくなるなんて、という気持ち。あとめちゃくちゃ印象に残る漫画で大好き。ただ、kindleで買ってしまったのが自分でも惜しいな〜と思う。見開きのコマが多いので、紙で買うか、電子書籍ならタブレットで見るか、という感じ。

 

 

1122(1) (モーニングコミックス)

1122(1) (モーニングコミックス)

 

「公認不倫」を導入している夫婦の話……ですが最新6巻までくるとかなり事情が変わっていて、それもおもしろい。寛容になったふりをしているだけで、本当は目を逸らしている時ってあるよなー、と『1122』を読んでいると思います。

 

 

来世ではちゃんとします 1 (愛蔵版コミックス)

来世ではちゃんとします 1 (愛蔵版コミックス)

 

実写化も決まった来世ちゃん。拗れた恋愛観、それぞれの人生観を持った登場人物がたくさん出てきて、みんなが言うことに「わかる……」と頷いてしまう。サクッと4コマで読みやすい。

 

 

チェンソーマン 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

チェンソーマン 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

友人と読書会をした時に勧めてもらった漫画。『週刊少年ジャンプ』掲載とは思えない下品さとえげつなさが良い。よくよく考えたら主人公がエロい願望を持つことは珍しくない気がしていて、デンジはもう後ろめたさとか一切なくそれを放つところが珍しいのかもしれない。これからの展開が怖いなあと思いながら見守っている。

 

 

宝石の国(10) (アフタヌーンKC)

宝石の国(10) (アフタヌーンKC)

 

市川春子先生は最高だな……と思いながら読みました。とにかく心が抉られるくらい綺麗で、うつくしい彼らをずっと見ていたいなあと思う。とにかく物語上での時間経過が半端ではないので、人間の頭では登場人物の感覚に追いつけない、という気持ちもある。

 

 

サプリ 1巻 (FEEL COMICS)

サプリ 1巻 (FEEL COMICS)

 

働くって……何……!? となってしまった時に、まあとりあえずおかざき真里先生に頼ろう、と思い全巻購入したものの、『サプリ』の彼女たちと今のわたしでは「働く」ということの意味が違う気もした。作中で藤井ミナミが「人生において働く時間が多くを占めるから、人生=仕事になる」というようなことを言っていた気がするけど、感覚的に違うなあと。でも、強く生きていこう、という気持ちになることができる。好き。

 

 

ものするひと 1 (ビームコミックス)

ものするひと 1 (ビームコミックス)

 
おあとがよろしいようで (文春e-book)

おあとがよろしいようで (文春e-book)

 
いのまま (芳文社コミックス)

いのまま (芳文社コミックス)

 
すきまめし (EDEN)

すきまめし (EDEN)

 

今年はわたしの周囲でオカヤイヅミ先生ブームでした。小説家が主人公だと聞いて『ものするひと』に興味を持ったんですが、個人的に好きだったのは『いのまま』かなー。ご飯を作ったり食べたりすることが大切なことなんだなあ、と改めて思います。

 

きっと愛してしまうんだ。 (7) (フラワーコミックスアルファ)

きっと愛してしまうんだ。 (7) (フラワーコミックスアルファ)

 

1月に最終巻が出た『きっと愛してしまうんだ。』は本当に安定してかわいい&キュンキュン、といった感じで安心して読める少女漫画だった。

私が恋などしなくても (1) (フラワーコミックスアルファ)

私が恋などしなくても (1) (フラワーコミックスアルファ)

 

そして新連載は少女漫画の編集部が舞台。一井かずみ先生のことが本当に大好きでシリーズ全巻揃えているんですけど、『私が恋などしなくても』が出だしが一番好きかもしれない……。

 

 

こいいじ(10) (Kissコミックス)

こいいじ(10) (Kissコミックス)

 

『こいいじ』が完結したのが今年なのが信じられていない。めっちゃ昔のことみたい……。とにかく一途なまめちゃんがいじらしくてかわいいけど、時々いい加減にしろって言いたくなるような、そういう愛しい漫画でした。

 

 

亜人ちゃんは語りたい(7) (ヤングマガジンコミックス)

亜人ちゃんは語りたい(7) (ヤングマガジンコミックス)

 

とにかくほのぼのおしゃべりしてるだけ。そしてクスッとしつつ、ちょっと考える要素もあるのが『亜人ちゃんは語りたい』だと思っています。7巻の新しいデミちゃんに対する解釈はとても好きだったな〜。

 

千と万 : 1 (アクションコミックス)

千と万 : 1 (アクションコミックス)

 

大好きな関谷あさみ先生の漫画をやっと購入できた……。父子家庭の親子のお話なんですけど、思春期の娘がとにかくかわいくてかわいくて仕方がない。関谷あさみ先生の描く女の子は最高だなっていつも思う。

 

 

おじさんとみーこ 上 (ZERO-SUMコミックス)

おじさんとみーこ 上 (ZERO-SUMコミックス)

  • 作者:朝日 悠
  • 出版社/メーカー: 一迅社
  • 発売日: 2017/05/25
  • メディア: コミック
 

ひとりぼっちの女の子・みーこと、叔父さんの物語。2人がちょっとずつ近づいていく様子が丁寧に描かれていて、何度読んでも本当に素敵だなあと思う。そしてみーこ、めっちゃかわいい。

 

 

マザーズ スピリット2 (CHARA コミックス)

マザーズ スピリット2 (CHARA コミックス)

 

そしていきなりのBL。『マザーズ スピリット』の続編、とても楽しみにしていたので嬉しい。とにかく攻めがかわいい、受けもかわいい、かわいいの大渋滞。

 

 

ワンルームエンジェル (onBLUEコミックス)

ワンルームエンジェル (onBLUEコミックス)

  • 作者:はらだ
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2019/03/25
  • メディア: コミック
 

これもBL。もうなんかこれは、読んで……としか言えないんですけど……読んでほしいです……読んでください……。

 

 

兄の忠告 (Canna Comics)

兄の忠告 (Canna Comics)

  • 作者:朝田 ねむい
  • 出版社/メーカー: プランタン出版
  • 発売日: 2014/01/27
  • メディア: コミック
 
Loved Circus (Canna Comics)

Loved Circus (Canna Comics)

  • 作者:朝田 ねむい
  • 出版社/メーカー: プランタン出版
  • 発売日: 2015/12/28
  • メディア: コミック
 
マイリトルインフェルノ 上 (on BLUEコミックス)

マイリトルインフェルノ 上 (on BLUEコミックス)

 
Dear, MY GOD (onBLUEコミックス)

Dear, MY GOD (onBLUEコミックス)

 

朝田ねむい先生の本は結構一気に読んだけれど、フォロワーさんがおすすめしていて読んだ『Dear,MY GOD』が一番ズドンと胸にきた。「君の神になるつもりはない」という台詞、めちゃくちゃ刺さりませんか……?

 

 

あーとかうーしか言えない (1) (裏少年サンデーコミックス)

あーとかうーしか言えない (1) (裏少年サンデーコミックス)

 

文字通り。あーとかうーしか言えない天才と編集者の話。インターネットで話題になっていたから買ったんですが、おもしろかった。

 

 

ハチミツとクローバー 1

ハチミツとクローバー 1

 

なんで今? って感じなんですけど、ハチクロ大人買いしました。だって読みたかったから。ラストまで一気にガーっと読んで、羽海野チカ先生の世界に浸って帰ってきた瞬間がとても気持ち良かった。

 

 

初めて恋をした日に読む話(9) (マーガレットコミックス)

初めて恋をした日に読む話(9) (マーガレットコミックス)

 

ドラマ化もして絶好調のはじこい、本当に登場人物がみんなかわいくて大好き。装丁もかわいいですよね、巻数によって微妙に違うピンクで。ドラマとはやや違う道を進みながらも、いろんな恋模様が交錯していてこれから楽しみ。

ぶどうとスミレ 1 (マーガレットコミックス)

ぶどうとスミレ 1 (マーガレットコミックス)

 

持田あき先生の新連載。持田あき先生の作品に出てくる言葉が本当にうつくしくてきらきらしていて大好き。何を食べたらそんな綺麗な言葉が出てくるんだろう? と思うくらい。

 

 

Bread&Butter 1 (マーガレットコミックスDIGITAL)

Bread&Butter 1 (マーガレットコミックスDIGITAL)

 

めちゃくちゃ好きな作品。登場人物それぞれ、今までの人生があって今がある感じが好き。一緒にご飯を食べていて楽しい人とともにいたい、という気持ちがとてもわかる。

セクシー田中さん (1) (フラワーコミックスアルファ)

セクシー田中さん (1) (フラワーコミックスアルファ)

 

芦原先生これはある意味タイトル詐欺です!! と言いたくなる感じ。確かに田中さんはめちゃくちゃセクシーなんだけれど。あと朱里と田中さんのやりとりがかわいい。

 

 

サターンリターン (1) (ビッグコミックス)

サターンリターン (1) (ビッグコミックス)

  • 作者:鳥飼 茜
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2019/06/28
  • メディア: コミック
 

個人的に今一番怖くて楽しみなのが『サターンリターン』。鳥飼茜先生の表情の描き方がとても好き。1巻で笑うような台詞じゃないところで笑っているりつ子がすごいな、と。

 

 

私の少年(7) (ヤンマガKCスペシャル)

私の少年(7) (ヤンマガKCスペシャル)

 

お姉さんと小学生男子のお話が、いつの間にか中学生の男の子に。あの……真修がどんどんうつくしくなっていくんですけど、どうしたらいいですか……。

 

 

ハイキュー!! 40 (ジャンプコミックスDIGITAL)

ハイキュー!! 40 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

インターハイ編、展開が読めていてもおもしろいから凄いな! と思いながら読んでいます。とにかくこれを読み始めてからバレー中継を楽しく見られるようになったのが大きい。

 

 

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち

 

うつではない(躁鬱)んですけど、ちょっとでもヒントが得られるかな〜と思って買ってみた本。個人的にはちょっと気が楽になった。

 

 

セキララにキス(9) (KC デザート)

セキララにキス(9) (KC デザート)

  • 作者:芥 文絵
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/08/09
  • メディア: コミック
 

8月に完結した少女漫画で、美大受験モノと言ってもいいんじゃないかな〜。美術予備校の中で心を通わせていくカップルがとにかくかわいい。最初は外面で生きていた千歳ちゃんがどんどん変わっていく様子に感動していた。あと千歳ちゃんの作るものはとても素敵!

 

 

僕のヒーローアカデミア 25 (ジャンプコミックス)

僕のヒーローアカデミア 25 (ジャンプコミックス)

 

僕のヒーローアカデミア』はこれから何が起こるんだろう、という感じ。張られている伏線が早く回収されてほしい〜すっきりしたい〜!!!!

 

 

恋せよキモノ乙女 1 (BUNCH COMICS)

恋せよキモノ乙女 1 (BUNCH COMICS)

  • 作者:山崎零
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/01/09
  • メディア: コミック
 

広告か何かで表紙を見てめちゃくちゃかわいいな! と思って買いました。休日に着物を着るのが趣味の女の子の話なんですが、関西が舞台で馴染み深い。第1話から六曜社が出てくるところとか良くないですか……?

 

 

カカフカカ(9) (KC KISS)

カカフカカ(9) (KC KISS)

 

こっちは拗らせ恋愛モノ。友人から勧められて読み始めたのですが、まあとにかく拗れる拗れる拗らせてる……。すごい。めちゃくちゃおもしろいです。

 

 

恋するMOON DOG 1 (花とゆめCOMICS)

恋するMOON DOG 1 (花とゆめCOMICS)

 

紅茶王子』の山田南平先生の連載ということで即効買った。表紙に首輪してるイケメンがいるけど怪しい本ではないです。こういう恋愛モノってイケメンに目が行きがちなのですが、主人公がかわいいんだ〜。

 

 

凪のお暇(6) (A.L.C.DX)

凪のお暇(6) (A.L.C.DX)

 

ドラマ化された『凪のお暇』は、慎二派かゴンさん派か、みたいになってましたけど、よく考えるとどっちもダメです。これから凪ちゃんはどうなるんだろうか……。

 

 

36度 (KCデラックス)

36度 (KCデラックス)

 

ゴトウユキコ先生の短編集『36度』、どれも湿度が高い感じの漫画が載っていて最高なんですけど、わたしは特に『なれた手つきで ちゃんづけで』が好きです。

 

 

泥の女通信

泥の女通信

 
涙煮込み愛辛さマシマシ (ビームコミックス)

涙煮込み愛辛さマシマシ (ビームコミックス)

 
恋煮込み愛つゆだく大盛り (ビームコミックス)

恋煮込み愛つゆだく大盛り (ビームコミックス)

 

にくまん子先生の漫画も本当に最高で、愛憎渦巻いているというか……もうとにかく読んでくれ! わたしは『よよの渦』がとても好きで、あの2人のことを思うと涙がぼろぼろこぼれます。ほかの漫画も感情を揺さぶられるものばかりなので是非。

 

 

覚えている限りのリストアップなので、こんな感じ。今年もわたしとしてはそこそこ読めたかな〜と思いますが、新規開拓ができなかったのでお勧めがあれば教えてください。

 

タンジョウビ=ヒルカラ=インシュ

22歳になりました。

順当に人生の駒を進めている同級生の方々は就職先も決まり、来年以降の人生の置き場所が確定している頃かと思います。

そんな中で中退や浪人や休学により人生の不確定レベルを更新し続けているわたしですが、この度晴れて22歳に。

20歳になった時よりもよほど、大人の仲間入りをした気持ちになっています。不思議〜。

 

今日は何も予定がなかったので、仕事が休みだった母と家でグダグダと過ごしていました。

 

朝10時に起床したら母が朝マックを買ってきてくれていて、ソーセージエッグマフィンとハッシュドポテトをQooで流し込む。

昼になって何を食べようか、という話になった時に「誕生日だし寿司はどうだろう」ということになったのですが、普段から行く寿司屋がことごとく定休日。呪われてるのか、と思ったら祝日翌、という理由でした。悲しみ。

仕方なくスーパーでサーモンまみれ寿司と納豆巻き、ついでにほろよいも買って帰宅。

昼から飲酒しました。

まあその結果眠ってしまい(わたしはあまり酒に強くないので)、夜こそは近所の洋食屋さんのディナーに行こうという話になっていたのですが「だるいね……」という言葉で流れました。

レトルトのカルボナーラパスタとサラダパックを食べました。

まあ今日はなんだかんだカロリーとったしな、と思い流行っていると聞いたダンスエクササイズをしようとしたところ、足の親指の爪で手を切ってしまい、血まみれに。

これだけぐだぐだだと楽しいな……と思いました。

誕生日に無理にはしゃいで心の肩を壊したりせずに、適当に楽しめるようになったのが22歳になったいいところかなー思います。

悪いところは後輩(中高一貫校だったので、後輩がまだ未成年)にこういう様を見せてしまっていることです。

 

来年はディストピア・タンジョウビ飯を目指してがんばるそー!

 

豚骨醤油ラーメンの濃い味、学割の大盛りでお願いします

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ラーメンを食べている。

豚骨ベースの醤油ラーメン。

高校時代から通い続けているラーメン屋なので、食べ慣れた味と言ってもいいかもしれない。

 


アルバイトの最中にふとラーメンが食べたくなってしまい、心の中であがったらラーメン屋に行く、と決めながら手を動かしていた。

ここ2週間で4kgほど太ってしまったので本当はラーメンを食べている場合ではないのだけれど、食欲には抗えない。ちなみに太った主な原因は薬の副作用による食欲の増加。反省の色が見えない。

 


帰り道、途中の駅で降りる。

高校時代も、フリーター時代も、予備校生時代も、そして大学生の今も。ずっとこのラーメン屋に通っていた。

 


店の中に入ると席はかなり埋まっていて、あいていた真ん中の方の席に座った。

 


カウンターの中にいる店長と目があった。笑顔で会釈をされたので、同じようにする。

彼はいつもアディダスの黒い帽子をかぶって、眼鏡をかけていた。

かなりの頻度で、しかも女ひとりで行くからなのか、いつからか顔を覚えられて、しばらくはこうして会釈だけをする関係だった。

 


すると、いつもは麺を茹でる鍋の前にいる店長が、こちらへ近寄ってくる。

珍しいな、と思っていると、「会いたかったです」と言われた。

熱烈だった。

店長とはラーメン屋の店長と客、という関係だと思っていたのはわたしだけなのだろうか。そう思いながら曖昧に笑う。

 


言葉を交わすようになったのは2年ほど前だ。

「豚骨醤油ラーメンの濃い味、学割の大盛りでお願いします」

いつものようにわたしがそうして注文すると、店長が口を開いた。

「はい、いつものね」

店長が得意げに笑う。

「いつも来てくれるよね」

「あ、はい……」

「大学生?」

「はい」

「いくつなん?」

「20歳です」

わたしは驚きと、顔を覚えられていた気恥ずかしさでいっぱいっぱいになりながら、店長の質問に答えた。

それからは、店に行くと店長が注文を取りに来てくれて、わたしが「豚骨醤油ラーメンの……」と言いかけたところで「いつものね」とうなずかれるようになった。

 


「僕、もうすぐやめるんですよ」

店長はそう言った。

わたしは驚いて声を上げてから「それは……ありがとうございました……」と呟く。

店長はくすぐったそうに笑ってから、注文が決まったら言ってください、と言って奥の方へ行った。

 


その光景に既視感があった。

店長はわたしにとって、2人目の店長だった。

このラーメン屋はチェーン店で、わたしが高校生の頃はまた別の人が店長をやっていた。

笑顔が爽やかなスポーツマン、といった風情の人で、その人にも顔を覚えられていた。ひとりで来る女子高生は珍しかったのだと思う。

 


午後3時頃だった。

学校をサボってラーメン屋に入って、いつもと同じラーメンを食べる。

中途半端な時間だったから、店には店長とわたしの2人しかいなかった。

「俺、ここの店長じゃなくなるんですよ」

麺をすするわたしに向かって、彼はそう言った。咀嚼しながら首をかしげる

そうなんですか?とたずねると彼は笑った。目尻にくしゃりとしわができる。

「横浜に行くんで、よろしくお願いします」

何をよろしくしたらいいのかわからないまま、わたしはうなずいた。

その後に来たのが、今の店長だった。

 


すみません、と手を上げて店長を呼ぶ。

いつも店長が立っている鍋の前には別の男の人が立っていた。

目の前に来た店長に「豚骨醤油ラーメンの濃い味、学割の大盛りでお願いします」と呪文のように唱える。

店長は「はい、いつものね」と笑った。

 


高校をやめてフリーターになった後、小さな予備校に通い始めた。

予備校はちょうどラーメン屋のある駅にあって、通いやすくなるなと思ったのを覚えている。

予備校の昼休み、数少ない女子達は空き教室で集まってご飯を食べる。みんな、お母さんの作ったお弁当を食べていた。

わたしも同じようにお弁当を持参してその輪の中に混じっていたのだけれど、時々、息苦しさを覚えては、昼休みの少しの時間を使ってラーメン屋に駆け込んだ。

 


「豚骨醤油ラーメンの大盛りです」

ありがとうございますと言ってから、写真を1枚だけ撮る。普段はラーメンの写真はあまり撮らないのだけれど、なんとなく今日はそういう気分だった。

「いただきます」

 


高校生の頃、学校に行くのがしんどかった時期に、わざと電車を乗り過ごしてラーメン屋がある駅で降りていた。

昼まで本屋あたりをぶらついて時間を潰して、サラリーマンの昼休みに混じって制服でラーメンをすすった。そうするとなんとなく、社会の中にいるような気持ちになれた。

自分の情けなさとか、つらさとか、そういうものを吹き飛ばしてくれるような、豚骨の旨さに救われていた。

 


食べ終わって箸を置く。

お茶を一杯飲んでから「お会計お願いします」と言うとまた店長がこちらへ来てくれた。

「712円になります」

財布の中から1012円を取り出して、店長にわたす。

 


「会いたいなーと思ってたんですよ」

店長が眼鏡の奥で目を細めた。わたしも同じように笑う。

「ちょうど、今週いっぱいだったんです」

おつりの300円をわたしの手に乗せながら店長が言った。

「会えてよかったです」